共有借地権を他の共有者に買い取ってもらう

【時期】
平成29年9月
【分類】
借地権の相続・トラブル
【場所】
東京都N区
【内容】
 相談者は、両親の実家(借地権付建物)のうち借地権部分を兄妹と共有で所有している方です。平成13年11月に母が亡くなり、その後、兄妹3名で遺産分割協議を行いました。兄が実家を引き継ぐことになり、兄が遺産分割案を作成し、なんと税理士に頼らずに相続税の申告書をも作成しました。弟妹は兄の言われるままに遺産分割協議書および相続税申告書に捺印しました。
 遺産分割の中に借地権もあり、兄100分の70、弟100分の15、妹100分の15という内容でした。通常、借地権の持ち分と同じ比率を建物の持ち分に適用しますが、建物の持ち分は兄が100%となっていました。敷地面積は200坪を超え、敷地内には実家の建物のほか、アパートがあり、賃料は全額兄が収得していました。こうなると、遺産分割協議書に記載された借地権は絵に描いた餅状態となり、財産価値はゼロに近づいてしまいます。
 相談者は、法律事務所に行き、共有物分割請求の可能性を探りましたが、兄が居住している現状を鑑みると裁判をしても勝てる可能性が低いことを指摘されました。
 70代の兄は上場企業の役員をした後に退職しており、弟妹の借地権を買い取る一定の資金がありそうなことがわかりました。相談者は兄に対して、路線価ベースで計算した借地権持ち分価格での買い取りを打診しましたが、首を縦に振りませんでした。当方は同時売却(地主と協議して底地と借地権を同時に第三者に売却すること)での処理が最も高い価格となることをアドバイスしたところ、兄は税理士を通じてある不動産コンサルティング会社に調査を依頼しました。そして兄はその会社とコンサルティング契約を締結しました。相談者が、その契約書の内容をメモし、後日当方が確認したところ、売却に関する記述は一切なく、資産を防衛することが主たる目的となっていました。
 相談者からこの件に関して当方に連絡があったのは、平成27年の秋でした。こう着状態がしばらく続いていましたが、昨年末に妹が弁護士に依頼して借地権の分割請求の調停を家庭裁判所に申し立てました。具体的には兄に対して借地権の共有持ち分を買い取り請求することでした。調停の過程において、買い取り価格の査定や様々なアドバイスを当社が行い、最終的には兄弟妹間で価格の調整を行って今月の調停で合意に至りました。母の相続が発生してから16年程度の長い月日が経過し、ようやく解決となったしだいです。相談者から喜びの電話をいただき、当方も胸をなでおろしました。
 借地権の相続は所有権と比較して難しいポイントが多々あります。経験のある専門の不動産会社に処理を依頼することをお勧めいたします。

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