借地権と底地を交換(敷地が広いので、交換したいが可能か)

借地の面積が大きく、建物が乗っていない土地の面積が広く、接道条件が良い場合などには、借地権と底地を等価交換し、土地を一定の割合で地主と借地権者の間で分ける方法が採用できます。

下記の図で示されるような手法です。この手法のメリットは、借地権者、底地権者の双方が完全所有権の土地を保有することができることです。地主は完全所有権になった後は、その部分の土地を駐車場や賃貸住宅を建てたり、第三者に売却することができます。また借地人は完全所有権の土地を保有できますので、担保価値が上昇して借入金を作ったり、土地付建物を第三者に売却したり、建物を建替えて他の用途(自宅→賃貸住宅など)に転用したりすることができます。

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それでは具体的な交換例を解説いたします。
国税庁公表の借地権割合が60%で面積が80坪の以下のような土地があったとします。

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借地権と底地を交換し、借地権者の自宅が建っている部分の敷地40坪分の土地所有権が借地権者名義となり、庭部分の敷地40坪分の土地は地主が完全所有権を取得します。
借地権割合は60%ですが、10%分を地主に対する名義変更料と考え、権利割合を50%づつとすることが実務上の慣行となっていることが少なくありません。

上記例では地主は40坪分の敷地を有効利用して、アパート等を建築したり、駐車場として運用したり、更地として第三者に売却するなどの手法をとるケースが多々見受けられます。

所得税法58条により、借地権と底地を交換する際には、一定の条件を満たせば譲渡所得の交換の特例を受けることができます。これは固定資産である土地や建物を同じ種類の資産と交換したときは、譲渡がなかったものとする特例であり、このことを固定資産の交換の特例といいます。

この特例の要件の一つに、交換する資産は互いに同じ種類の固定資産でなければならないとする要件があります。同じ種類の固定資産の交換とは、例えば、土地と土地、建物と建物の交換のことです。 この場合、借地権は土地の種類に含まれます。

したがって、地主が建物の敷地として貸している土地、いわゆる底地の一部とその土地を借りている人の借地権の一部との交換も、土地と土地との交換になり、その他の要件にも当てはまれば、固定資産の交換の特例を受けることができます。
詳しくは、国税庁の「土地建物の交換をしたときの特例」で御確認を御願いいたします。

この交換が可能か否かは建築基準法や道路法などの調査が必要です。市役所や区役所で確認をすることになりますが、できれば交換の経験がある専門会社に相談をすべきと思います。また、交換を予定している土地部分(上記図でいえば庭部分)に上下水道ガスの埋設管が存在している場合には、それらの付け替えが求められます。ブロック塀などがある場合には、その撤去も求められますので、ご注意ください。

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