更新料の支払いを拒んだ故に、借地権の資産価値が市場価格の半値以下に!

新型コロナにより、店舗や事務所の家賃の減額を求める入居者が増えています。賃料という意味では地代も同じですが、店舗はともかく、居住用の借地の地代の減額を求める例はまだ見聞きしていません。そんな最中に、借地権の更新時期が到来し、地主もしくは代理人の不動産会社から土地賃貸借契約の更新の案内が届き、更新料の支払いを求められた場合には、どう対処したら良いでしょうか。
更新料は法的根拠がないので、支払う必要がないとの意見もありますが、支払わなかったがために借地権の資産価値が市場価格の半値以下になった事例を紹介します。その借地権は都内でも高級住宅街として有名な場所にあり、地主は有名な寺です。管理人として後期高齢者の弁護士が存在していました。今から10年以上前に更新の時期を迎え、更新料(公示価格ベースでの更地価格の5%相当額)を請求されました。借地人のA氏は支払う意思はありましたが、結局は交渉が決裂して支払いませんでした。その後、その借地権付き建物に居住していた母親が逝去し、空き家となったため、第三者への売却を考えました。最初についた買い手は3000万円で借地権を取得し、建物を立て直す予定でしたが、前記の弁護士は建物への抵当権設定承諾をせずに流れました。その後、何人か買い手は付きましたが、譲渡承諾を認めずに、2年近くが経過しました。その後に現れた買い手B氏は親の相続による住み替えで現金があるため、借地非訟(地主が譲渡承諾をしない場合に、裁判所が代わりの許可を出すシステム)に協力してくれました。すると、前記の弁護士は介入権を行使すると主張し、裁判所により、鑑定価格3590万円、介入権行使価格3260万円が算定されました。地主が介入権を行使すれば、A氏にとってはメリット大でしたが、前記の弁護士は価格が高すぎて行使しないと宣言しました。借地非訟の申し立てからこの時点で半年以上も経過しており、住み替えを急いでいたB氏は当該物件の取得をあきらめ、他を見つけざるをえなくなりました。おそらく前記の弁護士は自身が介入権行使を宣言することにより、B氏は当該物件をあきらめ、解約することを見越していたのだと思われます。買い手が不在となったために、A氏は地主の言いなりの価格1500万円で借地権付き建物を地主に売却せざるを得なくなりました。
約130万円の更新料の支払いを拒んだために1500万円以上の損をしてしまった計算となります。更新料の支払いをしないと、第三者への譲渡、建物の建て替え時に痛いしっぺ返しにあいます。更新時には将来を見据えた対処が必要であることを認識していただきたいと思います。

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