東京オリンピックで借地権価格も上昇?!

2020年の東京五輪誘致決定により、東京の地価が上昇するのではないか、との見方が台頭しています。五輪会場に近い地区の新築マンションの内覧会には人が殺到し、中古住宅の流通量も増加しています。五輪以外にも、アベノミクス効果や消費税増税前の駆け込み需要などの要因で、不動産への注目度が以前よりも増しているように思います。
借地権・底地などの権利調整を専門に手掛けている会社の方にお聞きすると、五輪開催に伴う新線計画が噂されている地域の地主の中には、売却するつもりだった貸地を売らずに保有する方針に切り替えた方が現れているそうです。
借地権者の中にも地価上昇の恩恵を被れるのではと期待する方々も少なくないと思われます。確かに借地権の価格は更地×借地権割合で計算されますので、土地(更地)の価格が上昇すれば、借地権価格も値上がりすることになります。しかし、これは理論上の価格であり、実際に流通する際の価格算定には様々な要因が付加されます。売却時には地主による譲渡承諾が必要であり、また譲受者が新たにローンを組んで借地権付建物を購入しようとする場合には地主のローン設定承諾書への署名捺印が求められたり、接している道路が私道の場合はその持ち主(大概は地主)による通行承諾・道路掘削承諾が必要であったりと、地主の協力が不可欠となります。もし地主が各種書類への署名捺印を拒んだ場合にはどうなるでしょうか。借地権価格は理論上の価格を大幅に下回ることになります。
ほかにも道路の幅員が狭く車が通行できない、地代が近隣と比較して高い、今まで地主に対して更新料を支払わず法定更新を繰り返してきたなどの要因がある場合にはそれらが価格下落要因となります。
このように借地権の価格形成には様々な要因が含まれますので、五輪開催で借地権価格が上昇とは単純に言い切れないのです。更新時期が迫っている、借地権者または地主に相続が発生した、建物が老朽化して建て替えざるをえないなどの要因が生じた場合には借地権を売却する、底地を購入するなどの何らかの処分に関して検討されることをお勧めいたします。

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