借地権を相続したいがどういう手続きが必要か

s_a0027_002859_m

最近、当相談室によせられる質問で、相続に関する内容が増加しています。高齢で一人暮らしをされている親が亡くなる、もしくは高齢者施設に入居されるなど、相続前後に起きる問題が多いのです。

まず、相続発生後の手続きをご案内いたします。借地権に限らず、相続が発生すると被相続人の財産は相続人の共有状態となります。借地権には建物が付いていますので、その両者が相続財産となります。遺言がある場合は除いて、この相続財産を誰の帰属にするのか、言い換えると誰が相続をするのかを決めるのは、相続人同士の話し合いによる「遺産分割協議」になります。

その前に、一体誰が法定相続人になるのかを確認する作業が必要です。被相続人が出生してから亡くなるまでの全戸籍謄本を取り寄せる必要があります。出生地の役場に出向くか、郵送で戸籍を請求することになりますが、被相続人が本籍地を複数回変えるなどしていた場合には、そのすべての地の役所に戸籍を請求することになります。
したがって、戸籍を取り寄せるだけでも1か月以上かかることは珍しくありません。この作業を自身で行うことが難しければ、司法書士に委任するという手段もあります。有料になりますが、漏れなく正確に行ってくれますので、安心できます。心当たりの司法書士がいない場合には、当相談室でご紹介いたします。

相続人が確定した後は、遺産分割協議を行うことになります。当相談室の経験上、相続対象の建物は老朽化していることが多く、相続した後に建て替えや大規模修繕が必要になるケースが少なくありません。よって遺産分割協議の結果、借地権付建物を売却して現金に換えて相続したい(換価分割)という結論に達するケースが多いのです。
相続人全員が相続して売却する場合には、遺産分割協議書に相続人全員が署名捺印(実印)し、印鑑証明書と戸籍謄本(相続人)及び住民票を用意し、法務局に出向いて建物の相続登記を行うか、司法書士に登記を委任します。特定の相続人が相続する場合も手続きは同様です。

ここでお気づきのことと思いますが、建物は登記できますが、借地権は物権ではなく債権のため、登記ができません。しかし、誰が相続をしたのかを明確にするために、遺産分割協議書に借地権を相続財産として明記をすべきです。遺産分割協議書は誰でも作成できますが、素人が作成した場合には表記に誤りがある場合が少なくありません。司法書士等の専門家に作成を委任することをお勧めいたします。

遺産分割協議書の作成と建物の相続登記が終了すると同時に、土地の賃貸人である地主に遺産分割協議書の写しと建物の謄本を提出することになります。誰が相続するのかに関しては、遺産分割協議が整った段階で、口頭で地主に告知をしておいたほうが良いでしょう。新たな借地権者と地主とで、改めて土地賃貸借契約書を締結するか、被相続人と地主とが締結した土地賃貸借契約書を活かして、新たな借地権者が被相続人の借地人としての地位を承継したという内容の覚書を作成するかで対応をすることになります。
これらの書類の作成は一般に地主または土地の管理者(不動産会社)が担当しますが、後者が担当する場合には書類作成費を請求されることがありますので、ご注意ください。地主とのやり取りに不安がある場合には、当相談室が委任を受けて地主に連絡をすることも可能です。

お気軽に、お問合せ・ご相談ください

首都圏の借地権の問題解決は、この道32年の専門家・国土地所にお任せください!